弦はクァルテットの倍数

 

 なぜ、オーケストラではVn1 Vn2 Va Vc Cbと2人づつ減るのでしょう?

 Vn1が8プルトで16人なら16-14-12-10-8、Vn1が6プルトで12人なら12-10-8-6-4という具合です。

   クァルテットは4人で、サントリーホールの様な大ホールでもホールは響き渡ります。

 この疑問はかなり前からありました。

 どうしてだんだん減るのか?

 理屈としては、クァルテットのように1stの技量が揃わない。

あるいは、第1ヴァイオリンにメロディが多いからなどいろいろありますが、私を納得させたことはありませんでした。

 であるなら、やってみるしかない。

 というわけで、ブルックナーはVn1×6 Vn2×6 Va×6 Vc×6 Cb×4の編成で演奏しました。

 Vn1が6人だとちょっと少ないのでは?という意見もありましたが、逆にクァルテットが6組と考えればどうでしょう? 1つのクァルテットでも大ホールに響き渡るのですからその6倍です。

 ブルックナーの様な、金管が活躍する曲では弦が埋没するのでは?という声もありました。

 私には経験から確信がありました。オーケストラのフォルテは全員で出すもので、一人一人がフォルテである必要はない。どういうことかというと、作曲家はそもそもフォルテでは沢山の楽器を積み重ねています。もちろん全員でピアニシモというのもありますが、音量を大きくしたければ楽器を沢山使います。

 ブルックナーの交響曲第3番を例に取れば、1楽章の出だしはPPでコントラバス、チェロ、ヴィオラ、そしてくら2本でスタートします。次第に楽器が加わり、ffになるA(

31小節)の10小節前からティンパニが加わってクレッシェンドが始まり、最後の4小節でトロンボーンも加わって一気にAのffに向かいます。Aでは全員が揃ってファーミレドと同じ音を総奏します。全員で弾くのですから一人一人がそんなにガンバラなくても楽にffは出ます。むしろガンバラない方が逆にホールが楽器として響く、つまり空間力を活かすことになります。

 一人一人ではなく、全員でffを出すという気持ちになれば良いのです。

 これでは迫力がないとおっしゃる方も多いと思います。しかし、ここで一人一人が頑張りすぎると音が飽和して、ホールの空間力を無視することになります。

  デア・リング東京オーケストラはブルックナーでは全員前を向いているので、一人一人が五感のみならずあらゆる感覚を開いでいますので、どんな場面でも適切なバランスが保たれているとおもいます。

 私はオーケストラを聴く時、Vn1が人数が多い上に、皆さん目一杯弾くのでうるさいと感じることが多いのです。それは演奏会でも録音でもそう感じることが多いです。

 今後もデア・リング東京オーケストラではクァルテットの倍数で弦は演奏していきたいと思っています。

オーケストラの弦楽器は、ケーキのスポンジに似ていて、木管、金管、打楽器はデコレーションの役を担っていると言えると思います。

 

25Aug.2017